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戦後の経済を牽引し
支えた日本のモノづくり

 戦後の日本経済を牽引し支えたモノづくりは、今やすっかり形を変え、日本のモノづくりは世界的競争力を失い、新しいモノづくりの新星が日本から長らく生まれておりません。過去のアナログ時代、モノづくりはフィジカル層の構造や電気的な制御ロジック中心に開発が成り立っていました。当時は、制作・実験・修正の繰り返しで開発が進行していくため、時間をかけた検証が得意で徹底的な結果に拘る日本人の気質がモノづくりには適していたのだと思います。その結果として世界的な規模の、現存する日本の大手メーカーが誕生しております。私は、このフィジカル層中心なもの作りを“モノづくり1.0”と定義致します。しかし、1990年代に入ると状況が変わります。

 Windowsを始めとする、オペレーションシステム(OS)の台頭です。これは、デジタル時代の幕開けでもありました。当時日本のメーカーはスタイリッシュなモノづくりと、携帯電話の普及でまだまだ世界的に価値を帯びた状態にありましたが、この頃から劣勢への流れの転換が始まっていたと考えています。例えば、NECが世界に誇ったPC98は、IBMのDOSVマシーンに敗退します。一太郎・花子という優れたソフトを世に出したジャストシステムも、マイクロソフトのWord Excelに完敗いたしました。それらは、ものの価値がフィジカル層よりロジカル層に移った事が大きく、即ち利用者の価値の要であるマイクロソフトがどちらに有利な展開をしたかが勝敗の行方を決めたからであります。
以前のフィジカル層中心な“モノづくり1.0”に対し、前記ロジカル層中心なモノづくりを“モノづくり2.0”と定義致します。

オペレーションシステム(OS)による
デジタル時代の幕開け

 モノづくり1.0での製品価値は、構造的・電気的制度の高さにありました。しかし、2.0になると、それは画面上での操作性や利便性という、違った要素に変化し、「決まった正解に対して如何に正解を積み上げるか」が評価の中心にあった日本人にとって、必ずしも優位性のある転換ではなかったように思えます。新しい発想でモノを作る」という正解が無限に存在するロジカル層の新たなる思考ロジックは欧米の自由発想と個性・表現に重きを置いた教育にマッチします。枠組みの無い自由発想からのイノベーションは、日本国民の課題であると私は認識しています。

 2000年に入ると、モノづくりが更に進化しました。アプリ・OSとロジカル層の間を繋ぐミドルウエア―競争の激化、そして2010年頃からのコモディティーへのアンドロイドの台頭です。
コンピュータの世界では、WindowsとMachintosh、極少数派がLinuxを利用するというのが世界的な風景です。一方、パーソナルコンピュータ(PC)と呼ばれるもの以外の製品に関しては、過去より製品のコアとなる半導体(CPU)メーカーが、動作の要になるEmbedded OSに合せ、基本となるデバイス(端子類)ドライバーをセットで提供し、開発者はその上でロジカル層のアプリ開発を行うのが通例でした。その頃、世界的に求められたのは、あらゆるハードウエアに対応できるような、OSとハードウエアとの橋渡しを行うミドルウエアと呼ばれるアブストラクション層でのソフトウエアでした。

OSとハードウエアとの
橋渡しを行うミドルウエアの登場

私は当時、KDDIのIP放送端末(現在のAUボックス)のプロトタイプ開発に参加した時、将来このレイヤーの標準化を成し遂げた会社が、世界のモノづくりを牽引するだろうと提言し、当時まだ出始めであったアンドロイドOSをIP放送端末に利用せず、ドコモのiモードのような新しいロジックを独自に検討しては如何か?と会議の場で展開した事があります。
今や世界のモノ作りではアンドロイドがアブストラクション層を制覇し、各デバイスメーカーは、アンドロイドOS(LINUXベースではるが、独自ミドルウエアを内包)に従ってデバイスドライバーを提供する流れがほぼ出来上がったと言って良い状況に至っています。

アンドロイドでアブストラクション層の凡の統一が進んでからのモノづくりを、私はもの作り3.0と呼びます「デバイスの組み合わせにより、容易になったモノ作りです」。連続した時の流れには断片が無く、私のセグメンテーションは、消費者目線での変化を基準とした考え方です。アンドロイドがアブストラクション層を制覇し始めた頃から、世界のモノづくりでは、奇妙な事が起こり始めました。
イーコマースの覇者Amazonが独自端末Kindleを作り、Amazonスティックを作り、家電メーカーだったSonyが電気自動車に参入するなど、業界の垣根が取り除かれていきました。

何故、そんな事が起こり得るのか?それは「モノの価値は、物理層(ハードウエア)から理論層(ソフトウエア)に移り、アブストラクション層以下のフィジカル層がある一定のルールパターンに基づき、パズルのピースのようになった事で、モノを構成するデバイス・CPU・メモリー・電源・OS・アプリケーション、凡その構成要素が、組合せで完成できる世の中になったから」です。更にインターネットとのシームレスな連携が製品に組み合わさり、モノの価値がモノの中からクラウドに移り始めています。過去とは全く違ったモノの価値が形成され始めていると言えます。これが、この先私たちの新しいステージとなる“モノづくり4.0”の到来だと考えています。

組み合わせで製品が成り立ち、
サービスが価値を生むモノづくりの時代

そんなモノづくり4.0ですが、結論から言うと、日本企業には難しい課題も多いように感じます。
ものの価値の中心がソフトウエアである事はモノづくり2.0の時代から変わりません。モノの組み合わせで製品が出来る時代に大切な要素になるのは、モノづくりの適切な構成要素と提供者を世界から見極め、組上げられるボーダーレスな情報ネットワークとリスクテイクの文化だと思います。全てを自社で作る選択は今の時代にはありません。組み合わせでものが出来る、ある意味モジュール化した構成要素を束ねる事は、グローバリズムの中でのリスクテイクの繰り返しが、成功の鍵を握っているように思えます。

当社は過去より25年間モノづくりを続け、モノづくり2.0以降の世界を一通り見てまいりました。そして長年の実績と経験に基づいた考えとして、モノづくり4.0の時代には以下が必要だと感じています。
・モノの真価を決める要素を企業文化としてNDAに持つ必要がある。
・世界に幅広いネットワークを持つ、国際的企業である。
・工場を自ら持たず、製品特性に応じてファブレスな柔軟対応が可能である事
・価値が認められる部位に対しては自ら調達・開発する事が出来、その価値を企業内に内存出来る能力を有する。
当社は、モノづくり4.0を通じ、価値の内部吸収・蓄積を継続し、それを将来のSaaSへ繋げる事によって、更なる大きな価値を生んでいく企業に成長し続けます。

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